土地探しは気長に、でもクイックに

「マイホームを持ちたい」という漠然とした思いから、つぎに思い描くのは「どこに?」ということなのではないでしょうか。

引退後のことも考え、最初は自然の多い地方への移住を考えていました。

長野に素敵なデザイン住宅を建てた知人がいて、長野の暮らしを想像してみたり、壮大な山々を臨む地方都市が好きで、富山、長野(松本)、山梨の土地を検索してみたり、美しい海を眺めて暮らせる沖縄や九州(福岡)、温暖な気候で観光地としても大好きな愛媛も候補になっていました。

でも東京で生まれ育った私は好きなときに友人に会いにいける、来てもらえる距離だったり、年をとってからの暮らしやすさ(やっぱり都会は便利)から関東圏に志向がより戻っていったんです。

色々な物件サイトを眺めては大体の相場を掴んだり、気になる土地の公共交通機関への距離、スーパー、コンビニ、郵便局、銀行へのアクセスを調べてみたりしていましたが、まだ、漠然とした将来の憧れの域を超えていませんでした。

 

ブレイクスルーはコロナ禍の生活

コロナ禍...人生でこんなに大きな歴史的イベントに遭遇するとは思いもよりませんでしたが、職場も完全在宅になり、感染への恐怖心から2年程度の巣ごもりを経験し、好きだった旅行にもいけないので小銭が貯まります。

頭金として使えそうなまとまった額の貯金ができたところで、物価の上昇が止まらず、お金を銀行に預けているだけだと価値がどんどん目減りするという焦燥感が日に日につのっていきました。

夢のマイホームに一歩ずつでも踏み出してみよう、そう思い立ち、注文住宅で有名なデザイン会社の土地探しの相談会に参加したのが始まりです。

資産形成なら断然マンションなのですが、家を建てるのが夢だったため注文住宅での戸建てに心は決まっていました。

 

アプリで土地探し

土地探しの相談を行ったその某建築デザイン会社が開発したアプリを利用させてもらいましたが、複数の不動産物件紹介サイトの物件を横断で検索ができ、地図上に価格を表示してくれる機能があり、格段に探しやすくなりました。

気に入った物件をブックマークしながら、実際にその土地を見に行ったり、こういう土地はどうでしょうかとデザイン会社の営業担当の方に相談しては、「この土地はがけ崩れの恐れがあるハザードマップでレッドゾーンの土地です」等のフィードバックをもらって考え直すを繰り返していました。

 

なぜその土地にするのか

実際にその土地に赴き、自転車で複数の物件を見て回っていると、地域の雰囲気が自ずとわかります。

予算の問題で、東京や神奈川だと郊外の土地になるわけですが、工場地帯と隣り合わせの町だったり、特にこれといった特徴もない住宅街だったり、次第になぜわざわざその土地にするのか、動機づけをより意識するようになりました。特にそのときは東京に住まいがあり、実家もマンションではあるけどやはり東京でしたので。

そんな経緯を経て、かねてから憧れの地であった鎌倉にフォーカスすることになりました。海があり緑も多く都心にも比較的気軽にアクセスできる観光都市。

 

気長に探すつもりで

予算内に収まり、ある程度の広さがあり、交通機関やスーパー、コンビニまでのアクセスが比較的便利な土地を鎌倉で探すとなると、そうそう良い物件が日々出てくるわけでもなく、供給より需要の方が大きい状態ですから、売れずに残っている土地にはそれなりのワケがあるものです。

だからこそ、優良物件が追加されていないか毎日更新をチェックした方が良いのです。掲載された瞬間に売れてしまうこともある世界ですし、チャンスをひたすら待つ長期戦です。私は5年くらいかけるつもりでした。それほどのんびり構えていたんです。

でも、色々な物件を検討し、現地を見に行ったりする中で、運命を感じる瞬間ってあるものです。あ、この土地かもしれないって。そういう土地だと、それまで私が気になる物件に対して、これこれこういう点が懸念点ですよね、と、建築デザイン会社の担当さんもあまりオススメしませんというフィードバックが多かった中で、はじめて「良い物件だと思いますよ、オファーしますか?」って前のめりになってきたりするんです。

本格的に土地を探し始めて、まだ1年も経っていないタイミングで、トントン拍子に話が進んでいくことになりました。

 

もう少し慎重になればよかったか?

確かに振り返ってみると興奮して焦り過ぎていたように思いますし、もっと不動産や法律のことを調べてからにした方が良かったと後悔した面もあります。

それでもあのときチャンスに乗らなければ、今の家は手に入っていなかったことになりますし、慎重すぎても、この後もっと条件の良い物件が出てくるかもしれないとチャンスを逃し続けることになり、結果、憧れのマイホームは永遠に夢のままです。

 

私道には注意

あまりにも知識がなかったと言わざるを得ませんが、家の前の道が私道であるという点、土地の購入を決断したときには大きなデメリットとも思っていませんでした。

考えてみれば当たり前なのですが、不動産会社からも特に「家の前の道が私道になるんですが、本当に大丈夫ですか?」などと言うことは一切聞かれませんでしたし、むしろ強調したくないデメリットです。今思えば懸念を打ち消すような「掘削許可が取れていますので」といったことを強調されていたなと思います。

工事車両が入るにも、掘削をするにも、私道の所有者の許可が必要だったり、事前に伝えておく、挨拶をするといったことを求められたりしますので、煩わしいと感じる方は私道に面した土地は避けた方が無難です。(家を建設しているときだけではなく、その後もエアコンの設置などで車両を長く駐車しておくとき等にも気を遣わなければいけないのですから)

 

ライフライン

東京に住んでいると都市ガスなんて当たり前すぎて意識もしないのですが、東京でも郊外や、他県についてはそれが当たり前ではないということを思い知らされます。

私の購入した土地も最初は都市ガスが通っておらず、私道の持ち主に掘削許可をいただいた上で都市ガスを引くことになりましたし、掘削した後のアスファルトの処理については条件がついていたり、購入時に認識していた条件と先方が提示していた条件が噛み合わずトラブルになったり、先方の意向に沿って対応すると高額な工事費がかかったり、こんなはずじゃなかったということの連続でした。

公道だったら国や自治体が無料でやってくれることも私道だと話が変わってきます。

水道も「配管がもうかなり古く老朽化している恐れがある」(私道の部分について)「配管を新しくあなたの家専用に引く場合は既存の配管より太いものになり、既存の細い配管との互換性がないため全部を取り替える形になる」と言われ、新設する場合の費用がとんでもなく高額だったため泣く泣く諦めました。

電気についても他人の家の屋根の上に電線が通らないように、自身の土地に電柱を立てて電線を引いてくる必要もありました。

ライフラインは土地を購入する前に必ず確認しておくポイントなので、みなさまお気をつけください。(私は全然気にしておらず、土地を購入してから、建築するタイミングになって思い知らされておりました。知らないって怖いですねー。><)